The87th ACADEMYAWARDS 第87回 アカデミー賞 特集

インタビュー

ハリウッド一リスペクトされる巨匠クリント・イーストウッドが振り返るアカデミー賞の思い出

クリント・イーストウッド監督

『アメリカン・スナイパー』が、第87回アカデミー賞で作品賞ほか5部門にノミネート。『許されざる者』(1992)と『ミリオンダラー・ベイビー』(2004)で2度の監督賞受賞を果たし、俳優として、監督としてハリウッドから絶大なリスペクトを受ける名匠クリント・イーストウッド。彼がアカデミー賞にまつわる思い出や賞がもたらす意義について語った。

アカデミー賞の鉄板ジャンル、戦争映画へのこだわり

硫黄島での戦いを日米双方の視点から描いた2部作『父親たちの星条旗』(2006)『硫黄島からの手紙』(2006)をはじめ、戦争映画はアカデミー賞でも賞レースに絡みやすい題材だが、このジャンルについてのこだわりについて尋ねると「戦争という葛藤に興味があるだけだよ」と意外にもあっさり、しかし核心をつく答えが返ってきた。「葛藤というのはドラマの基本だから、興味深くドラマチックな物語になる。『硫黄島からの手紙』は、『父親たちの星条旗』をやったことで感じた好奇心から生まれたものだ。アメリカ人の将校が、島を守っていた栗林大将のことをすごく尊敬していると言っていたんだよ」と2部作が誕生した経緯を説明。「島を守りに行き、戻って来ると思うな」と言った日本の兵隊たちの希望的観測から、戦争を分析してみようと思ったんだ。そういう好奇心が、あの映画を企画することにつながった。僕の大好きな映画の一つだよ」と作品に対する思い入れの深さを強調した。

6部門ノミネートの最新作は、米軍史上最強といわれた狙撃手の物語

クリント・イーストウッド監督

『アメリカン・スナイパー』の主人公は、米軍史上最強の狙撃手と呼ばれた実在の人物クリス・カイル。米海軍特殊部隊ネイビーシールズ所属のスナイパーであった彼がイラク戦争でトラウマを背負っていくさまを克明に追ったドラマで、カイルを演じたブラッドリー・クーパーは2度目のアカデミー賞主演男優賞にノミネートされている。ブラッドリーいわく本作には『許されざる者』との共通点が多々あるという。それに対しイーストウッドは「ブラッドリーは『許されざる者』が大好きなんだ(笑)。でも『許されざる者』は、若かった頃の人生に取りつかれている男を描いていた作品だ。それが、主人公をずっと苦しめ、彼がなすこと全てに関係している。ブラッドリーは、『アメリカン・スナイパー』に少し西部劇みたいなフィーリングがあると感じたんじゃないかな。西部劇というのは、銃や防御の腕が立つ人を描くものだからね」

アカデミー賞は必ずしも良作が受賞するとは限らない!?

アカデミー賞で6部門にノミネートされた影響で、興行収入8,926万9,066ドル(約107億1,228万7,920円)で首位を獲得。同週のオープニング週末興収記録だけでなく、1月の記録も塗り替える大ヒットを記録した本作(数字はBox Office Mojo調べ、1ドル120円計算)。記録的なヒットを受けて受賞結果が一層注目を浴びているが、イーストウッド本人は至って冷静。「(受賞は)いいものだよ。やっぱり仕事仲間や同業者に賞に推してもらえるのは気持ちがいいもの。だがあまりこだわらない方がいい。素晴らしい作品が無冠に終わることは多々あるし、さほど素晴らしくない作品が受賞することも多い。賞の行方にはさまざまな要素が絡んでくるので、そういうことも鑑みるべきだね」とベテランの境地を見せつける。

監督賞を受賞した2作品に対する格別な思い

クリント・イーストウッド

「僕は映画を観てくれた人がストーリーや、その描き方を楽しんでくれれば、それで十分なんだ」とアカデミー賞に対してはクールな価値観を持つイーストウッドだが、監督賞を受賞した2作についてはやはり格別を思いを持っているようで、「『許されざる者』と『ミリオンダラー・ベイビー』は、どちらも作るのが楽しい作品だった。ただどちらも始めるまでが大変だった。当初『ミリオンダラー・ベイビー』は、誰もやりたがらなかったんだよ。スタジオは完成した作品を気に入ってくれたようだけど、女性ボクサーの話なんて当初は誰もやりたがらなくて」と当時を振り返る。一方、『許されざる者』については「西部劇だったので、散々西部劇をやってきた自分が撮るのだから大きく失敗することはないだろうと踏んではくれていたみたいだ。これは結果的に最も気に入っている作品の一つになったし、2作ともわたしのフィルモグラフィーの中でも特別な位置にあるし、映画史の中でもそれなりの位置にあり、良作だと思う」と胸を張った。

文:シネマトゥデイ編集部 石井百合子 写真:Yoshi Ohara

クリント・イーストウッド

1930年5月31日、 アメリカ/カリフォルニア州サンフランシスコ生まれ。陸軍に入隊、除隊後にロサンゼルス・シティー・カレッジで演技を学ぶ。テレビシリーズ「ローハイド」(1959~1966)を経て、セルジオ・レオーネ監督作『荒野の用心棒』(1964)などマカロニ・ウエスタン映画で人気急上昇。『ダーティハリー』(1971)の型破りな刑事ハリー・キャラハンがアタリ役となり世界的なスターに。『許されざる者』(1992)、『ミリオンダラー・ベイビー』(2004)で二度のアカデミー賞監督賞に輝く。近年の代表作に『ジャージー・ボーイズ』(2014)など。

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最新監督作品

『アメリカン・スナイパー』

(C) 2014 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

『アメリカン・スナイパー』 (2月21日公開)

アメリカ軍で最も強い狙撃手と呼ばれた、クリス・カイルの自叙伝を実写化したドラマ。アメリカ海軍特殊部隊ネイビーシールズ所属のスナイパーであった彼が、イラク戦争で数々の戦果を挙げながらも心に傷を負っていくさまを見つめる。メガホンを取るのは、『ミリオンダラー・ベイビー』などのクリント・イーストウッド。『世界にひとつのプレイブック』などのブラッドリー・クーパーが主演を務め、プロデューサーとしても名を連ねている。戦争とは何かを問うテーマに加え、壮絶な戦闘描写も見もの。

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