掲載期間:2016年2月15日~3月14日

第88回2016年アカデミー賞

現地レポートカリフォルニアのハリウッドから、2016年第88回アカデミー賞の舞台裏を現地からレポート!未公開なシーンが隠れているかも…!?

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『マッドマックス』の入れ墨は世界の歴史!?トップアーティストたちが明かす驚愕の特殊メイク術

Michael Palma /(C)AMPAS

現地時間27日、第88回アカデミー賞メイク・ヘアスタイリング賞にノミネートされている3作品『マッドマックス 怒りのデス・ロード』『レヴェナント:蘇えりし者』『100歳の華麗なる冒険』のアーティストたちが、ビバリーヒルズにあるアカデミー本部で行われたイベントに登壇し、製作の裏側を明かした。

ヘアメイク業界の中で特に難しい技術の一つとされている「エイジング」と呼ばれる技術を駆使して、若者だった主人公が100歳の老人になっていく様子を表現したのは『100歳の華麗なる冒険』。アカデミー賞候補となったヘアメイク担当のラヴ・ラーソン、エヴァ・フォン・バールは、特殊メイクで人間を若返らせたり老けさせたりすることがいかに緻密で時間のかかる仕事なのかを語り、最後に「エイジングの仕事はしばらくお休みにしたいわ」と冗談交じりに笑った。

Michael Palma /(C)AMPAS

そして、日本でも大人気の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』では、レスリー・バンダーウォルト、エルカ・ワーデガ、ダミアン・マーティンの3人が出席。CGIは最小限に抑え、実際に大量の人員と車輌を投入して撮影が敢行された本作は、アフリカのナミビアにあるナミブ砂漠という極寒酷暑の状況下で行われ、ダミアンいわく「死ぬほど大変だったよ」そう。一方、エルカは、劇中の悪党イモータン・ジョーの部下ニュークスをはじめとする配下の男たちが戦闘時に顔に吹きかけるシルバースプレーのエピソードを披露。テスト時にさまざまなパウダー状の粉をトライしたがうまくいかず困っていたところ、知り合いがケーキ店で使われていた銀の粉砂糖のことを教えてくれたという。

この“シルバースプレー”は、一旦顔に吹きかけると、修正作業がかなり難しい。「ある日時間が押しているなか、何百人という数のスタッフやエキストラが周りでスタンバッている中で、わたしがシルバースプレーを落とすのに時間がかかっているのをジト~っと見ているっていう状況が何度もあって、やるせなくてスゴくつらかったわ」と振り返る。

Michael Palma /(C)AMPAS

レスリーも、劇中で体中に入れ墨を入れた老婆ミス・ギディのメイクの裏話を教えてくれた。ミス・ギディの全身に掘られた緻密な入れ墨のデザインは、さまざまな言語で書かれた世界の歴史なのだという。ジョージ・ミラー監督直々の考案で用意されたこの入れ墨は、肉眼では見えないほどの細かい文章を文字デザイナーが手書きで特殊フィルムに書き、それを女優の体に写しアレンジしたもの。

Michael Yada /(C)AMPAS

ミス・ギディ役の女優は出番の1日前にスタジオに入り、5時間かけてメイクを施された。その晩、彼女には寝るときに入れ墨が擦れてしまわないようにシルクのシーツが支給されたのだが、「ある夜女優さんが手を頬にあてるかたちで眠ってしまったことがあって、起きたら頬の“入れ墨”がバッチリ彼女の手に移ってしまっていたの!」とレスリーは予想外のアクシデントを明かした。そして「耐水性だけど油分や石けんには弱いから、3日間の撮影中は女優さんは石けんなしの生活だったのよ」と続けた。

過酷な撮影といえば、『レヴェナント:蘇えりし者』も引けを取らないと聞く。スタッフの一人であるロバート・パンディーニは、「極寒のロケ地で俳優の髪質とヘアメイク製品がどのような反応を起こすのかをリサーチするために、撮影前に3か月以上にわたって数種類のタイプの異なる髪束を用意し、自宅の冷凍庫を使って何度も実験して独自の製品を調合した」と語る。その過程で、日本のヘアワックスに優れものを発見し、特注オーダーして活用したのだそう。

シアン・グリッグは、レオナルド・ディカプリオお気に入りのヘアメイクアーティストとして有名で、レオとは映画『タイタニック』のころからの付き合いになる。ゴールデン・グローブ賞を受賞したレオはスピーチのときにシアンを「天才」と称賛し、個人的に感謝の言葉を贈ったほど。レオほどの大スターと関係を持続させる秘訣を聞くと「秘訣というよりは気の合う友人に巡り合えた運という感じで、レオとは本当に気が合うんです」と語る。長年付き合えばレオの機嫌が悪い日もあるのでは、という質問には「実は、機嫌が悪くなりやすいのはむしろわたしの方(笑)。レオほど常にプロフェッショナルで一緒に働いていて楽しい人はいないわ」。

ノミネートされている候補者たちにはそれぞれ家族のような結束と温かさがある。映画の世界は一見華麗に見えるが、実際には想像を絶する緻密な準備と過酷な現場でのハプニングの連続という厳しいもの。経験豊かな撮影現場では家族にも似た信頼関係がパワーとなって撮影を成功に導く。今年の授賞式では、どの“ファミリー”がオスカーを手にするのだろうか。

文・取材:明美・トスト / Akemi Tosto

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