
土屋太鳳、憧れの女優はアン・ハサウェイ!「ギャップが面白い」
NHKの連続テレビ小説「まれ」(2015)のヒロイン役で脚光を浴び、以降、映画、テレビドラマなどで快進撃を続ける土屋太鳳。2017年には「第9回TAMA映画賞」最優秀新進女優賞を受賞し、その勢いは、菅田将暉と初共演&ダブル主演を果たした映画『となりの怪物くん』(4月27日公開)を皮切りに、今年もとどまることを知らない。節目、節目でアカデミー賞関連の作品に勇気と感動をもらってきたという土屋が、授賞式の思い出や今も心に残る受賞作品、さらには目標とする女優について真摯に語った。(取材・文:坂田正樹 撮影:上野裕二 ヘアメイク:遠藤真稀子(um) スタイリスト:トリイクニコ)
映画賞は努力が観客に届いたことへのご褒美
映画業界に携わる者にとって、やはり「賞」は、がんばってきた自分への大きな励みになる。「第9回TAMA映画賞」で最優秀新進女優賞を受賞した際、大粒の涙を流して喜びを爆発させた土屋にとって、この受賞はどんな意味があったのだろうか。「まず、受賞理由(「役にひた向きに向き合い、あふれる笑顔と抜群の運動神経で演じ切る姿は、観客の心をわしづかみにした」)がわたしの心にすごく響いて、思いもよらない感動が心の中にわぁーっと広がって、自然と涙が出てきました」と述懐。「届くか届かないかわからないけれど、気持ちを込めて送り届けるのが芸術だと思っているので、『それがちゃんと届いたよ』と認めていただけるのが『賞』かな、と思います」そして、映画賞の中でも最も権威ある第90回アカデミー賞授賞式が、現地時間3月4日、ロサンゼルスのドルビーシアターで行われるが、「毎回、受賞された方のスピーチや衣裳を見るのが楽しみ」という土屋。今年も個性豊かな作品がずらりと並んでいるが、「ジャンルや監督、俳優にこだわらず、どれも観たい作品ばかりです!」と大きな目を輝かせた。

朝ドラの撮影を支えてくれた『英国王のスピーチ』
アカデミー賞で一番思い出に残っている作品として『英国王のスピーチ』(2010)を挙げた土屋。ちなみに同作は、第83回アカデミー賞作品賞、監督賞、主演男優賞、脚本賞の主要4部門で受賞しているが、この作品によって苦境を乗り越えられたのだという。「『まれ』の撮影のときに、自分の声とお芝居が周りのスピードに負けてしまって、すごく苦しんでいたら、スタッフさんが『この映画、観てみたら?』って教えてくださって。『自分の声を聞いてしまうから緊張するんだ!』とか、ジョージ6世(コリン・ファース)がローグ先生(ジェフリー・ラッシュ)から教えを請うのですが、2人の関係性がすごく良くて、たくさんの勇気をもらいました」また、『アマデウス』(第57回/アカデミー賞作品賞ほか8部門受賞)も印象深い作品だという土屋は、天才の苦悩に興味津々だったとか。「この作品は胸が苦しくなります......天才って普通を装いながら才能を隠そうとするもの。だから、この映画を観て天才は苦しいものなんだなと思いました」

オスカー女優アン・ハサウェイの振り幅に圧倒される
同じ女優として気になるスターについては、「アン・ハサウェイさん!」と即答。『レ・ミゼラブル』(第85回/アカデミー賞3部門受賞)で助演女優賞に輝いたアンの"ギャップ"が素晴らしいと言葉に熱が入る。「『レ・ミゼラブル』で迫真の演技を見せる一方、バラエティー番組でラップバトルに参戦する、あの振り幅は本当にすごいですし、面白いですよね」と絶賛。「日本では、女優、歌手、ダンサー、という風にカテゴリーに分けられがちだと思うのですが、アメリカでは、例えば女優を目指すなら全てをこなし、全てを鍛える。アン・ハサウェイさんはその代表的な存在だと思います」
最新作『となりの怪物くん』で菅田将暉に刺激を受ける
ダンスが得意な土屋にとって、振り幅の広い女優は憧れの的。最新作『となりの怪物くん』では、ダンスやラップこそないものの、演技の面で、新たな土屋の才能が開花している。「わたしが演じる水谷雫(しずく)は、心が固まっていて、迷っている状態がずっと続く役なので、原作から得た言葉や共感した部分をしっかり表現できたかな? という不安は常にありました」。相手役の"怪物"吉田春を演じるのが、今、飛ぶ鳥を落とす勢いの菅田将暉。「役の雰囲気を考えると、少し距離を置いた方がいいのかな? と思っていたのですが、菅田くんのほうからギターを持ってきて『一緒に歌おう!』と声をかけてくれて。そのおかげで、自然といい空気が出来上がったように思います」と感謝しきり。「本当に、風のような、水のような俳優さん。天才肌というか、自由なんですよね。でも、その中で迷うんじゃなくて、ちゃんと伝えたいところにたどり着く。その才能がすごくうらやましかったです」と脱帽していた。

土屋太鳳
1995年2月3日生まれ。2005年、スーパー・ヒロイン・オーディションミス・フェニックス 審査員特別賞を受賞して芸能界デビュー。テレビドラマ「鈴木先生」(2011・テレビ東京系)で注目を浴び、『るろうに剣心』シリーズ(2014)などに出演。2015年、NHKの連続テレビ小説「まれ」のヒロインに抜擢されブレイク。幼少期よりクラシック・バレエや日本舞踊などダンスを得意とし、世界的歌手シーアの「アライヴ」日本版ミュージックビデオで見せたパフォーマンスが話題に。2017年の『PとJK』『兄に愛されすぎて困ってます』『トリガール!』『8年越しの花嫁 奇跡の実話』などの映画&テレビドラマに続いて2018年は、舞台「プルートゥ PLUTO」に出演。映画『となりの怪物くん』のほかテレビドラマ「チア☆ダン」(TBS系・7月スタート)、芳根京子とダブル主演を務める映画『累 -かさね-』(9月7日公開)などが控えている。取材・文:坂田正樹

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