15分後に訪れる残酷なラストに涙する短編映画賞ノミネート作品
第91回米アカデミー賞の短編実写映画賞部門にノミネートされた『野獣』(原題:『フォーヴ』)は、15分あまりの作品です。そのオープニングシーンは、リヴァー・フェニックス主演の名作『スタンド・バイ・ミー』(1986年)を思わせます。線路を歩く2人の少年が、無邪気に遊びに興じているのです。「何かが起こる」気配は漂ってきませんが、次第に少年たちは「何かに導かれる」ように坂道を転げ落ちるのです。それは、子ども時代に一度は経験したことがある「危険なゲーム」と言い換えることができます。
しかし、「危険なゲーム」が命をも奪いかねない状況に追い込まれたら......。その場所が大人の助けが届かない大自然が相手であったなら......。絶望的なまでのシチュエーションに少年はどう行動を起こし、何を思い、何を語ろうとするのか。
本作は映像表現に一切無駄がないため、緊張感を継続したまま、あっという間にエンディングへと引き込まれます。そして、残酷なまでのラストシーンには、きっと胸が締め付けられるはずです。

(C) Olivier.Gossot
記事:Yahoo!映画