掲載期間:2021年3月16日~5月9日

第93回2021年アカデミー賞特集

衝撃の実話! Netflix『シカゴ7裁判』が大統領選にぶつけた"闘い"とは? エディ・レッドメインら豪華キャスト集結

BANGER!!!

Netflixオリジナル映画『シカゴ7裁判』独占配信中

民主主義を求めて戦った人々の真実の記録

2020年秋というタイミングで、Netflixオリジナル作品『シカゴ7裁判』が公開・配信されたことには意味がある。この映画のテーマは、大きくいえばデモや裁判も含めた"民主主義"だ。

題材は1968年、大統領選挙に先立つシカゴでの民主党大会における、ベトナム反戦デモ隊と警官隊の衝突。この事件を扇動したとされる面々、通称<シカゴ7>が裁判にかけられる。

映画の中で明示されるのは、この裁判が不当なものだということだ。新たに大統領となったニクソンによる"カウンターカルチャー潰し"であり、司法長官による前任者への怨みも込められていた。

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そもそも被告たちは別個に活動しており、主義主張に近いものがあっても明確な仲間というわけではない。生真面目なトム・ヘイデン(エディ・レッドメイン)は悪ふざけが好きなアビー・ホフマンと仲が悪いし、裁判に向けた作戦会議でも口論を繰り広げる。

さらに裁判官は超のつく保守派。降りかかる理不尽に、若者たちと彼らを守る弁護士はどう闘ったのか――?

監督アーロン・ソーキン、主演エディ・レッドメイン、サシャ・バロン・コーエン

裁判の進行とデモ当日の"現実"を織り交ぜる構成が巧みだ。脚本・監督はアーロン・ソーキン。『ソーシャル・ネットワーク』(2010年)に『マネーボール』(2011年)、『スティーブ・ジョブズ』(2015年)の脚本を書いており、実話映画の名手と言っていいだろう。社会派であり裁判を描くのもうまい。この『シカゴ7裁判』は、つまりソーキンの真骨頂と言える題材でありテーマになる。

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ホフマン(「この本を盗め」を書いた人といえば伝わる人が増えるかも)を迫力たっぷりに演じるのは、『ボラット』2作(2006年、2020年)で知られるサシャ・バロン・コーエン。活動家にもコメディアンにも見え、法廷でも冗談と減らず口をやめないホフマンは「政府転覆」の企みについて問い詰められてこう答える。

「考えてるよ。4年に1回、合法的に可能だからね」

違法行為をせずとも、そんなことはできるんだという反論であり、それがアメリカの民主主義だという宣言。合法的な方法とは、言うまでもなく"選挙"だ。

2007年には脚本が完成していた本作は、結果として2020年の秋、アメリカ大統領選にぶつけるように公開された。かつての『華氏911』(2004年)もそうだったように、この映画を公開・配信することそのものが"闘い"なのだ。

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激動の2020年を代表する、アメリカをアメリカたらしめるために必要な映画

ブラックパンサー党を結成したボビー・シールが手足の自由を奪われ、さらに「息ができない」状態にされる場面は衝撃的であり、BLM運動にダイレクトにつながってくる。

まさに今、見られることに意味がある作品だ。そして大統領選の趨勢が決まってなお、アメリカは"闘い"の渦中にある。民主主義と、それを成立させる手続きが破壊されないための闘いだ。

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『シカゴ7裁判』は、アメリカをアメリカたらしめるために必要な映画である。たとえば、その祖先には『十二人の怒れる男』(1957年)もいると言っていいだろう。単なる"社会派映画"ではなく、エネルギッシュな"燃える映画"でもある。2020年にこの映画がある。それがアメリカ映画の底力だし、Netflixからリリースされたというのは時代を象徴してもいるだろう。間違いなく、2020年を代表する一本だ。

『シカゴ7裁判』はNetflixで独占配信中

作品賞ノミネート『シカゴ7裁判』
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BANGER!!! 橋本宗洋

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