掲載期間:2021年3月16日~5月9日

第93回2021年アカデミー賞特集

2021年アカデミー賞で会場を盛り上げたスピーチまとめ

FRONTROW

第93回アカデミー賞授賞式で出席者や視聴者の心を動かしたスピーチをご紹介。(フロントロウ編集部)

クロエ・ジャオ(監督賞/『ノマドランド』)

クロエ・ジャオ監督は有色人種の女性としては初めて、女性としては2人目となる監督賞を受賞。

「人之初,性本善。人は生まれながらに、本質的には善人である。この6文字は、子供の私に大きな影響を与えました。そして今でも、例え真逆のことが真実に見える時でも、私はその言葉を心から信じています。私はいつでも、自分が訪れた世界のすべての場所で出会った人々の中に善良さを見つけています。信じるものを持ち、善良さを自分の中に繋ぎとめる勇気、お互いのなかに繋ぎとめる勇気を持つ人たち。それがどれだけ難しいことだとしても」。

フランシス・マクドーマンド(主演女優賞/『ノマドランド』)

『ファーゴ(1996年)』と『スリー・ビルボード(2017年)』に続く3度目の主演女優賞受賞となったフランシス・マクドーマンドは、なんともフランシスらしいスピーチ。

「私には言葉はありません。私の声は剣にあります。私たちはその剣が自分たちの仕事であることを分かっています。そして私は仕事を愛しています。それを知っていてくれてありがとう。そしてこれ(※オスカー)をありがとう」

ユン・ヨジョン(助演女優賞/『ミナリ』)

アジア人女性として史上2人目となる助演女優賞受賞を果たしたユン・ヨジョンのスピーチは、今年最高のスピーチという呼び声が高く、客席にいたアマンダ・サイフリッドが「彼女のこと大好き」と口ずさむ姿もあった。

「(『ミナリ』のエグゼクティブ・プロデューサーで、同部門のプレゼンターを務めた)ブラッド・ピットさん、やっとお会いすることができましたね。私たちがタルサ(※オクラホマ州北東部の都市)で撮影をしている時、あなたはどこにいらしたんですか?何はともあれ、お会いできて光栄です」

「ご存じかと思いますが、私は韓国出身です。そして私の名前はユン・ヨジョンです。ヨーロッパの多くの人がヨヨン、ユジョンなど(間違って)呼びますが、今夜、みなさんのことを許します」

「仕事に行かせてくれた2人の息子に感謝します。(オスカー像を持ち上げて)これはマミーが必死に頑張って働いた結果です」

ダニエル・カルーヤ(助演男優賞/『ユダ&ブラック・メシア』)

ブラックパンサー党イリノイ州支部長とFBIの内通者の関係を追った『Judas and the Black Messiah(原題)』で初のオスカーを獲得したダニエル・カルーヤは、最後に両親に関するドキッとする発言をして、観客席にいた家族もあ然。

「(映画の題材となっている)ブラック・パンサー党は、自分を愛する方法を教えてくれました。そしてその愛が、黒人コミュニティへと溢れ出し、その他のコミュニティにも届くのです。彼らは私たちに、調和の力、団結の力を見せてくれたのです」

「今ある命を祝福しましょう。私たちは息をしているし、歩くこともできます。それは素晴らしいことです。母は父と恋に落ち、彼らはセックスをしました。なんて最高なことでしょう。そのおかげで私は今ここにいるんですから。生きていることに感謝します。だから今夜はみんなでそのことを祝福しましょう」

エメラルド・フェネル(オリジナル脚本賞/『プロミシング・ヤング・ウーマン』)

エメラルド・フェネルは監督・脚本家として長編映画デビュー作にしてアカデミー賞オリジナル脚本賞を受賞!

「スピーチを用意しておけと言われましたが、こんなことが起こるなんて思ってもいなかったから用意してきませんでした。人生においてスピーチを書いたのは1度きり。10歳の時でした。それに何か使えることが書いていないか見てみましたが、残念ながら、"私を支える夫"である『Saved by the Bell』のザック・モリスへの感謝を述べているくらいでした。私が望んでいたのとは裏腹に、彼は私の人生において重要な人物にはならなかったので、そのスピーチは使えないですね」

トマス・ヴィンターベア(国際長編映画賞)

『アナザーラウンド』のトマス・ヴィンターベア監督は、撮影4日目に19歳の若さで交通事故により亡くなった娘のイダを追悼。

「人生を祝福する映画を作りたいと思いました。撮影がスタートして4日目に、信じられないことが起きました。高速道路での事故で、娘の命が奪われてしまったのです。携帯電話を見ながら運転していた人がいたのです。娘が恋しいですし、娘を愛しています。私たちがこの映画の撮影を始める2ヶ月前、つまり娘が亡くなる2ヶ月前、娘はアフリカに滞在していました。娘は私に手紙を送ってくれ、脚本を気に入ったと言ってくれました。自分を理解してもらえた気持ちになったと言っていました。娘もこの映画に出演する予定でした。今も私たちと一緒に娘がここにいると信じてくださる方々には、私たちと一緒になって拍手をし、祝福している娘の姿が見えているのではと思います」

トレイボン・フリー(短編映画賞/『隔たる世界の2人』)

トレイボン・フリーは、アメリカにおける人種や性の問題をテーマにした著書を多く持つ作家のジェイムズ・ボールドウィンの言葉を引用して警察によるアメリカ国民に対する暴力、なかでも最も被害を受けている黒人への暴力根絶を訴えた。

「今日、警察は3人を殺す。明日、警察は3人を殺す。そしてその次の日、警察は3人を殺す。なぜなら今アメリカの警察は1日に3人を、1年にするとおよそ1000人を殺しているから。そしてその(殺されている)人たちは不釣り合いなほど黒人が多いんです。ジェイムズ・ボールドウィンは言いました。『人間ができる最低なことは、他の人の痛みに無関心であることです』と。だからお願いします。無関心にならないでください。私たちの痛みに無関心にならないでください」

ミア・ニール(メイクアップ&ヘアスタイリング賞/『マ・レイニーのブラックボトム』)

ミア・ニールとジャミカ・ウィルソンが、93回目を迎えたアカデミー賞で黒人女性として初めてメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞して歴史を変えた。

「否定されても諦めず、努力を続けた私たちの先祖に感謝したいと思います。そして、ジャミカと私はガラスの天井を打ち破り、未来への大きな期待とともにここに立っています。なぜなら、黒人のトランスジェンダー女性たち、アジア系の姉妹たち、ラテン系の姉妹たち、先住民の女性たちがここに立つ未来が想像できるから。そしていつかそれは、普通ではないこと、画期的なことではなくなると知っています。それはただ、普通のことになる」

ウィル・マコーマック(短編アニメ映画賞/『愛してるって言っておくね』)

学校での銃乱射事件で突然我が子を失った両親の心のうつろいを描いた短編アニメで受賞したウィル・マコーマックは、作品を銃による暴力の遺族に捧げた。

「銃による暴力で愛する人を失った方たちにこの映画を捧げます。私たちは、毎日100人もの人が銃による暴力で亡くなる国で生きるべきではありません。私たちにはもっと良い環境が与えられるべきです。私たちはもっと良い行動を起こさなくてはいけないです。私たちはもっと良い行ないをします」

フロリアン・ゼレール(脚色賞/『ファーザー』)

主演アンソニー・ホプキンズを現存する最高の俳優だとしたフロリアン・ゼレールは、アンソニーと一緒に働きたいという、叶わなそうな夢を叶えるために、アンソニーを頭に脚本を書いたことを明かした。

「誰かが不可能だと証明しない限りは、もしかしたらそれは(可能)かもしれないということ。時に、可能なこと、可能でないことに対して扉を閉ざしてしまうのは自分自身なのです。『ファーザー』では扉は閉ざさずに、自分のインスピレーション、希望、夢を追いたいと思いました」

アンソニー・ジアッチーノ(短編ドキュメンタリー賞/『コレット(原題)』)

ドイツ・ナチスに対抗するレジスタンス運動に参加していたコレット・マリン=キャサリンを題材にした短編ドキュメンタリーで受賞したアンソニー・ジアッチーノは、同じ部門にノミネートされたその他の作品を挙げてドキュメンタリー作品のパワーについて語った。

「(アカデミー賞に)ノミネートされたとき、彼女(※コレット)は、ドキュメンタリー映画作りのパワーのおかげで、彼女のきょうだいのジャン・ピエールはもう、ナチス強制収容所の夜と霧の中に置き去りにされ忘れられていないと言いました。これと同じくドキュメンタリーのストーリーテリングの力が、(『ラターシャに捧ぐ 〜記憶で綴る15年の生涯〜』の題材)ラターシャ・ハーリンズ、(『A Concerto Is a Conversation』の題材)ホランス・バウワーズ、(『Hunger Ward』の題材)イエメンの罪のない子供たち、(『Do Not Split』の題材)香港のデモ活動の記憶と勇気が忘れられないようにしてくれます。私たちがこれをやる理由はそういうことです」

タイラー・ペリー(ジーン・ハーショルト友愛賞)

慈善活動を讃える特別賞ジーン・ハーショルト友愛賞を受賞した映画制作者のタイラー・ペリーのスピーチは、ツイッターで#refusehate(ヘイトを拒め)というハッシュタグが拡散するきっかけを作った。

「私は母にヘイトを拒むよう教えられました。ひとくくりにして判断しないようにと教えられました。インターネットやソーシャル・メディアや私たちの考え方を作ろうとするアルゴリズムや24時間のニュースサイクルが存在する時代において、私たちみんなが子供達にヘイトを拒むよう教えることを願います。私はその人がメキシコ人だからといって、黒人だから、白人だから、LGBTQだからといってヘイトすることを拒みます。その人が警察官だからといって、アジア人だからといってヘイトすることを拒みます」

レジーナ・キング(脚本賞のプレゼンテーション)

脚本賞のプレゼンターとしてオープニングを務めたレジーナ・キングは、ジョージ・フロイドの死亡事件に関与した警察官(当時)が有罪判決を受けた件(※)に触れた。

「ここ1年はなんともすごい年でした。そしてまだ同じ場所にいる。私たちは多くの命を失ったことを嘆いています。正直にいうと、ミネアポリスで先週違う結果になっていたらこのハイヒールの代わりにデモ用の靴を履いていたでしょう。家で(放送を)見ている方々は、ハリウッドがお説教を始めたらチャンネルを変えたくなるのはわかっています。でも黒人の息子を持つ母親として、どれだけの人が(警察官に殺されるかもしれないという)恐怖を抱えて生きているかを知っています。どんなに名声や富を持ってもこれは変わりません」

※2020年に警察官に4人がかりで押さえつけられて死亡したジョージ・フロイド氏の事件の裁判のこと。息ができないと訴えるフロイド氏の首を9分以上にわたってひざで押さえつけた警察官(現在は元警察官)の1人デレク・ショービンに第2級殺人など3つの罪で有罪判決が言い渡された。アメリカでは職務中の警察官の行為に有罪判決が出ることは非常に稀のため、歴史的な判決とされている。

(フロントロウ編集部)

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