掲載期間:2018年1月24日~3月15日

第90回2018年アカデミー賞

今年の見どころ

「アカデミー賞に最も近い日本人」 3度目の正直で悲願のオスカー獲得へ

「彼が引き受けてくれたら、私は映画に出る」

名優ゲイリー・オールドマンにそう言わしめた日本人アーティストがいる。その人物こそ、本年度アカデミー賞のメイクアップ&ヘアスタイリング部門でノミネートされた辻一弘だ。

写真:Shutterstock/アフロ

映画『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』が、2人を結びつけた。

元英国首相チャーチルの実話を映画化した『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』は、チャーチル本人が現代に甦ったかのような風貌でスクリーンに登場する。

そっくりに演じたカメレオン俳優が、特殊メイクでチャーチルに見せるために必要としたのが、辻一弘だった。

ゲイリー・オールドマンは辻一弘に直々のオファーを送ったそうだ。しかし、彼は2012年に映画界を引退し、現代美術家として活動をしていた。
辻一弘は信頼するハリウッドの名優からのラブコールを悩んだ末に受ける。そして、合計200時間以上もかけて作り上げた歴史上の偉人が、アカデミー会員に評価された。

(C) 2017 Focus Features LLC. All Rights Reserved.

実は、辻一弘のノミネートは今回で3度目だ。2006年の『もしも昨日が選べたら』と2007年の『マッド・ファット・ワイフ』でも候補入りした実績を誇る。過去2回は、作品内容の関係もあり、受賞を逃していた。

今回は最有力との呼び声が高い。事実、前哨戦となる賞レースでも受賞が続いている。2月24日に発表された米アーティスト組合賞や英国アカデミー賞でもメイクアップ&ヘア賞を受賞。3度目の正直で悲願達成の勢いだ。

今回のノミネートについて、辻一弘はこのようなコメントを寄せた。
「私をこの仕事に呼び戻してくれた、ゲイリーに感謝します。長年このような作品を手がけたいと思っていました。『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』は素晴らしい映画です。ゲイリーは優れた俳優で、共に働けて光栄でした。彼の演技は本当に素晴らしく、チャーチルそのものでした。アカデミー賞ノミネートは名誉なことです。しかも(作品賞など)6部門もノミネートされ、とても嬉しいです。ゲイリーが受賞できることを心から願っています」

辻一弘さんインタビュー

主演男優賞候補のゲイリー・オールドマンもメイクアップチームを賛辞した。
「私の素晴らしいメイクアップチーム、カズヒロ、デイヴ、ルーシー、イバナに感謝します」(英国アカデミー賞受賞時のコメント)

天才日本人アーティストが生み出したチャーチルが、オスカー像を手にするのか? 3月5日(日本時間)に行われるアカデミー賞で、「And the Oscar goes to...(アカデミー賞を受賞するのは)カズヒロ ツジ」と名前が呼ばれることを期待したい。

辻一弘さんのプロフィール


もう1名、日本人がノミネートされた部門がある。アメリカ人の夫と共同監督を務めた『ネガティブ・スペース(原題)』で、桑畑かほるも短編アニメ部門でノミネートされている。今作はフランスのアニメーション製作会社である、IKKI FILMSとManuel Cam Studioとの共同製作で作り上げた作品だ。

2人はノミネートの喜びを連名で発表した。
「この度はアカデミー賞にノミネートされ、とても嬉しいです。チーム全員で一針づつ、一コマづつ、沢山の想いを込めて出来た作品です。チームの皆さん、応援してくれた方々に感謝の気持ちで一杯です」
メイクアップ&ヘアスタイリング部門の行方と合わせて、短編アニメ部門も注目したい。

『ネガティブ・スペース(原題)』予告編
(C) IKKI Films / Manuel Cam Studio

最後に受賞式のハイライトとなる作品賞に触れておこう。Yahoo!映画で実施中の作品賞予想では、『シェイプ・オブ・ウォーター』『ダンケルク』『スリー・ビルボード』が人気を集めている。一方、現地アメリカでは、『シェイプ・オブ・ウォーター』と『スリー・ビルボード』の一騎打ちという声が高い。昨年受賞の『ムーンライト』のように、最後にどんでん返しが待っているのか?

Yahoo!映画では受賞結果を、3月5日(日本時間)10時から速報予定。

Yahoo!映画

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