掲載期間:2017年1月25日~3月13日

第89回2017年アカデミー賞

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宮崎駿監督新作長編企画も発表!『レッドタートル ある島の物語』鈴木敏夫Pに直撃

ロサンゼンス時間の2月23日、第89回アカデミー賞長編アニメ映画部門の候補者たちが一堂に会する毎年恒例の「オスカーウイーク・イベント:アニメイテッド・フィーチャー」が、ビバリーヒルズにあるAMPAS(Academy of Motion Picture Arts and Sciences、映画芸術科学アカデミー)の本部で開催された。毎回、前年の長編アニメ映画賞の受賞者が司会を務めるという習慣から、今年は『インサイド・ヘッド』(2015)の監督ピート・ドクターとプロデューサーのジョナス・リヴェラが司会を務め、『モアナと伝説の海』『ズートピア』『クボ・アンド・ザ・トゥー・ストリングス(原題) / Kubo and the Two Strings』など今年の候補作のスタッフが参加。日本からは『レッドタートル ある島の物語』の鈴木敏夫プロデューサーが参加した。『レッドタートル』の監督マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィットと、『マイ・ライフ・アズ・ア・ズッキーニ(英題) / My Life as a Zucchini』のチームは、フランスのアカデミー賞と言われるセザール賞のスケジュールと重なってしまい残念ながら出席出来なかった。

『ズートピア』のチーム。左からバイロン・ハワード監督、リッチ・ムーア監督、プロデューサーのクラーク・スペンサー

本番前のレセプションに和服姿で現れた鈴木プロデューサーは、開口一番「懐かしいですね」とAMPASに戻って来た感想を口にした。今年は、どの作品が受賞してもおかしくないほど質の高い作品がそろったが、『レッドタートル』がノミネーションに入った理由について、「今アニメーション映画もどんどん派手になりつつあるんです。そういったことで言うと、こういった全編静かな映画は非常に珍しくて、それがいろんな方達の目にとまったのではないでしょうか」と語った。

第89回アカデミー賞長編アニメ映画賞の候補者が集うイベントに参加した『レッドタートル ある島の物語』の鈴木敏夫プロデューサー

約10年前、ドウ・ヴィット監督の短編『岸辺のふたり』(2000)を鈴木が観たことから始まった『レッドタートル』は、日本、フランス、ベルギーの合作ということ以外に、セリフがないことで完全に無国籍作品となっている。しかし、そのセリフを無くすという思い切ったアイデアが、監督ではなくプロデューサーである鈴木の提案だったことに驚く。「セリフがないことで世界の人が観る条件が共通になる。それをやってみたかったんです。最初にマイケルが考えた台本には、ところどころにセリフがあった。(それに対して)僕は『全部無くしてほしい』と要望を出しました」

他の候補者たちと談笑する鈴木敏夫プロデューサー

また、イベントの中で、スタジオジブリの今後について問われた鈴木は、現在、宮崎駿が新作の長編アニメに着手しているという衝撃的なニュースを発表したが、復帰の理由には『レッドタートル』が関係しているという。「彼は僕が『レッドタートル』をやっていることを知っていて、とても気にしていたんです。もう一つ言うと、彼は、このジブリで自分以外の人が作品をつくるのが嫌だったんでしょうね。余計なことばかり言ってますが……」と語り、会場は笑いに包まれた。

海外メディアの取材を受ける鈴木敏夫プロデューサー

『風立ちぬ』(2013)以来、4年連続でアカデミー賞にノミネートされ、すっかりアカデミー賞の常連となったスタジオジブリ。鈴木は、アカデミー賞そのものをどのように捉えているのだろう。「アメリカというのは非常に商業主義の国だと思います。でもアカデミー賞は、それだけじゃない映画にちゃんと目を光らせていて、賞の対象となる作品の幅が広い。そういう点が、僕は面白いと思っています」。

『クボ・アンド・ザ・トゥー・ストリングス(原題)』のチーム。プロデューサーのアリアンヌ・サトナーとトラヴィス・ナイト監督

つまり、アカデミー会員は作品を見る目があるということなのだろうか?「そうだと思います。僕は世界の映画祭で(上映される)日本映画が少なくなっているのをちょっと寂しく感じているんです。だから是非いろんな映画祭に参加して、世界の人たちと交流をはかるべきだと思います。日本の映画人にメッセージを発するなら『アカデミー賞に来てください。作品を持って』これが僕のメッセージです」。

『モアナと伝説の海』のチーム。左からロン・クレメンツ監督、プロデューサーのオスナット・シュラー、ジョン・マスカー監督

『ティム・バートンのコープスブライド』(2005)や『コララインとボタンの魔女』(2009)など質の高いストップモーションアニメ映画を製作し続けるライカの新作『クボ・アンド・ザ・トゥー・ストリングス(原題)』は、古代の日本を舞台に、魔法の力を持つ片目の少年が猿とカブトムシの侍を従えて悪を征圧するファンタジーだ。8歳で日本に行った時の経験が忘れられず、初の監督作で日本文化を題材に選び、見事アカデミー賞にノミネートされたトラヴィス・ナイトは、「オスカーにノミネートされた感想は、とても普通じゃないフィーリング。ただ、僕らの仲間に選ばれたというのは、このメディアで自分たちが素晴らしいストーリーテラーの一人だと言われているわけで、それはものすごく感動的なことだよ」と喜びを語った。

ファンの子供たちに頼まれて絵を描く昨年の受賞者ピート・ドクター監督(『インサイド・ヘッド』)

南の島を舞台に16歳の少女の冒険を、息をのむ映像美で描く『モアナと伝説の海』のジョン・マスカー監督は、「一週間ちょっと前に日本から戻って来た。少し寒かったけど、素晴らしい時間を過ごした。(日本語吹き替え版のモアナ役の)沖縄出身の女優トモナ(屋比久知奈)が、記者会見で『How Far I’ll Go』を日本語で歌ったけど、本当に見事だったよ」と来日についてコメント。ロン・クレメンツ監督は「今年はアニメーションにとって素晴らしい年だ。全てのノミネート作品が素晴らしい。アカデミー賞の候補資格を持った作品が27本もあったんだから。『リトル・マーメイド/人魚姫』(1989)のころから随分状況が変わった」とこの数十年で世界のアニメ業界が大きく成長したことを感慨深げに振り返る。

開場前に出来た長蛇の列

そして、動物の世界を描きながら多様性や偏見などヘヴィーだが今のアメリカにピッタリのテーマを盛り込んだ画期的ディズニー作品『ズートピア』。監督のバイロン・ハワードはノミネーションについて「映画が公開されてからずっと走っている感じ。オスカー前のこの一週間はマジカルだ。とても光栄で興奮している」と目を輝かせる。一方、現在『シュガー・ラッシュ』(2012)の続編を製作中のリッチ・ムーア監督は、「僕は今、人生で最もストレスを感じる二つのことを同時にやっている。アカデミー賞に関わることと、映画を作るということをね。でも楽しいよ」とうれしい悲鳴を上げた。

取材・文:細谷佳史、吉川優子 撮影:細谷佳史

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